2012/05/03

なぜ、南三陸町に?

震災半年前の2010年9月、三陸地方を一人旅しました。
岩手県釜石市から宮城県石巻市まで、太平洋沿岸部を電車を乗り継ぎながら、風光明媚な美しい風景を堪能させていただきました。

長年の憧れだった三陸地方の訪問が実現し、私にとっては今も忘れ得ぬ金の思い出です。

この日に初めて南三陸町を知りました。
町にいた時間はごくわずか。電車の窓から見た、志津川湾の美しい風景とのどかな町並みは一目見ただけで私の心を捉えました。
あのときの感動は昨日のことのように覚えています。

この日に撮った、10枚にも満たない南三陸町内の風景写真は、一生の宝物です。

今度はゆっくり時間をとってもう一度南三陸町を訪ねよう、
いい人ができたら、一緒に来よう、
そのときは南三陸町観光協会の方に観光スポットを教えていただこう、と。

―その矢先の3月11日。
間近で見た風景が津波で悉く打ち砕かれていく様に、
ただただ声を上げて呆然とすることしかできませんでした。
本当なら今すぐにでも町に飛んで行きたかったけど、
行ったところで邪魔でしかない。
私のささやかな夢は、心の奥にしまいこみ、
町への訪問は長らく自粛することにしたのです。

・・・ ・・・

地元にボランティア活動に行きたくても行けない状況にあって、
様々な形で、地元の生の情報の収集に努め、
町のことは胸中に入れてきたつもりです。
私の思いはいつも南三陸町にあります。

そんなある日、南三陸町の観光協会さんが運営しているインターネットショップ「みなみな屋」さんの存在を知りました。初めてお買い物をしたときに、みなみな屋のスタッフの方から「是非もう一度南三陸町へ!」と背中を押していただき、

大好きな南三陸町が大変な状況だからこそ、行こう!
自分ができることからやろう!と思い直し、
震災から9ヵ月後の昨年12月に南三陸町の再び訪ねさせていただきました。

実際に海岸近くの街並みが更地になっているのを間近で見て、心を傷めつつも、
この日、ホテル観洋さんの前で見た志津川湾の美しさは、
1年前に初めて見た、震災前の志津川湾の美しい風景と、全く変わってなくって
本当に震災があったのが信じられないほどでした。

南三陸町は、町が小さいゆえ、町民間の結びつきが強いです。
都会にはない温かな人間交流があり、自然と人とのかかわりの強さがあります。
東日本大震災という未曾有の災害に遭っても、変わらないものが町にはありました。
逆に震災によって、いやまして光輝くものがあったと私は思います。

・・・ ・・・

私は東京在住の普通の会社員です。
南三陸町出身どころか、東北出身でもありません。
ただ、東北が、三陸地方が、南三陸町が大好きな一庶民にすぎません。

ボランティア活動などで、実際に地元で直接交流したことも少なく、私ができることはそう多くはないかもしれません。ゆえに、復興に向けて動いておられる町の皆さま、関係者の皆さまの日々の奮闘に心からの敬意を表する日々です。

そうした中にあって、何らかの形で町とのかかわりを持てないものかと、思案を重ねてきました。

南三陸町の再訪問後も、みなみな屋さん以外にも、町にゆかりのある方々と縁することができました。本当にうれしく、幸せに思います。

それを形にできないかと考えた結果、町中の魅力を自分たちで集めて紹介することを思い付きました。それが「いいね!南三陸町」旗揚げという形で結実したのです。

それも、単に震災復興支援という次元だけでなく、震災が発生する前から、地域に根ざした町の魅力を発信することで、町のファンを増やすお手伝いをさせていただきたいと思ったのです。

そのための行動を続ければ、やがて「いいね!」のネットワークが三陸地方全域へと広がることでしょう。

・・・ ・・・

南三陸町は必ず復興します。
復興が進むにつれ、南三陸町がその模範として燦然と輝くものと確信しています。
復興後も町が発展し、農作物の豊作と、大漁を祈念せずにはおれません。

しかし、復興を遂げて、普段着の町に戻ることで、
逆に全国の方々から忘れ去られてしまうのではないかとの不安の声は少なくありません。
単に震災前の町に戻ってしまっては、このときの町の悩みまでもが元通りになってしまう。
それでは本末転倒です。

復興後の町の未来を見据え、一人でも多くの方にこの町の魅力を伝えていくメッセンジャーが絶対に必要なのです。

私たちは、長期的視野に立って、その待望に少しでも応えるべく、南三陸町は「こんなにすてきな街なんだ!」と一人でも多くの方に伝えて参りたい。地元在住及びご出身の皆さまはもちろん、町を愛してやまない皆さま方にもお力をお借りしながら、庶民目線で、庶民発の広報活動を推進して参りたいと思います。

地元と、日本全国の皆さまとの架け橋となれれば、こんなにうれしいことはありません。
これからも、今まで以上に、それこそ、町と一生かかわりを持ち続ける思いで、末長く南三陸町の応援をさせていただく決心です。

2012年5月3日
「いいね!南三陸町」プロジェクトチーム

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